手札が多めのビクトリア 試し読み
『手札が多めのビクトリア』を読むかどうか迷っている人へ
守雨のライトノベルを牛野こもが漫画にしたファンタジー。原作は「小説家になろう」に2021年9月15日から載り、書籍版はMFブックスから刊行されている。ハグル王国の工作員クロエは、変装と体術で任務をこなしてきたが、上司の裏切りをきっかけに組織を抜ける。隣の国で「ビクトリア」という名の一般市民になり、本人が望んでいた平穏な暮らしをやり直そうとする。ところが移り住んだ初日に、身寄りのない少女ノンナを拾ってしまい、娘として育てると決める。工作員時代の語学と知識で学者の助手や教師の職を得ながら、追っ手を退けつつ生活の土台を固めていく。紙と電子を合わせたシリーズ累計は、2026年7月時点で100万部を超えた。テレビアニメは2026年7月から放送されている。
配信ストアへのご案内は、ただいま準備中です。
題名が全部言ってる
この「手札」って、彼女が工作員として身につけたもの全部のことなんだよ。変装、体術、いくつもの言語、歴史の知識。それを全部捨てて、ただの市民として静かに暮らそうと国境を越えたのに、その手札がことごとく新しい生活のほうで役に立ってしまう。
逃げたのに、逃げた先で使うことになる。この構図が本当に良い。捨てられなかったんじゃなくて、捨てさせてもらえないんだよね。
移住した初日に、子どもを拾う
ここが好きなんだ。平穏をやり直しに来た人が、着いたその日に身寄りのない少女を保護して、娘として育てると決めてしまう。普通は逆でしょ。しがらみを減らしに来たはずなのに、初日から守るものを自分で増やしている。
この一手で、彼女がどういう人間なのかが分かる。任務を完遂してきた人の決断の速さが、こういうところに出ちゃうんだよ。
強さの見せかたが、戦闘じゃない
元凄腕なんだから無双するんだろうと思うじゃん。もちろん追っ手は来るし、退けもする。でも彼女が新天地で足場を作るのに使うのは、語学と歴史の知識のほうなんだ。学者の助手になり、教師の職を得る。頭で食っていく。
戦える人が、戦い以外のところで認められていく過程って、地味なんだけどすごく気持ちがいい。強さを見せびらかす場面より、こっちのほうが読んでいて嬉しかった。
裏切ったのが誰だったか、という一点
組織を抜けるきっかけは上司の裏切りなんだけど、その上司というのが、彼女が兄のように慕っていた相手なんだよ。ただ嫌な上役に嵌められた、じゃない。ここが効いてる。だから彼女が「平穏」を欲しがるのが、ふわっとした願望じゃなくて必然として読めるんだ。
読んでいて効いてくるところ
周りが敵ばっかりじゃない
これ、この手の作品としてはけっこう珍しいと思う。到着してすぐ、ひったくりから助けた縁で、伯爵家の未亡人が屋敷の離れを貸してくれる。伯爵夫人は彼女の能力を認めて何かと世話を焼く。騎士団長のジェフリーは、彼女の過去も力も分かったうえで、自分の意思で動くことを尊重してくれる。
疑われて排除される展開で引っぱらないんだよ。信じてくれる人がちゃんといる。だから彼女が守りたがっている「平穏」のほうに、こっちも肩入れできる。
悪役令嬢も王子も、ちゃんといる
ギルモア伯爵令嬢は嫉妬深くて、身分が下だと見た相手には露骨に態度が悪い。いわゆる悪役令嬢の役どころ。王太子は温厚で、その弟の第二王子は兄と真逆で明るい。この手の役者が一通り揃っているから、宮廷側の話もちゃんと動く。
ただ正直に言うと、貴族の家名と騎士団と王家が並走するので、人物はかなり多い。最初のうちはメモしたくなるかも。
平穏な作品、ではある。でも穏やかではない
のんびり暮らすやつとして開くと、どこかで面食らうと思う。追っ手は来るし、貴族社会のえげつない部分も出てくる。かなり重い題材を扱う筋もあるので、そこは知ったうえで手に取ったほうがいい。癒し枠ではないよ。
どう受け止められてきたか
「小説家になろう」から始まって、書籍になって、漫画になって、という道をひととおり通っている。原作のライトノベル版は「次にくるライトノベル大賞2023」の単行本部門で9位に入った。紙と電子を合わせたシリーズ累計は、2026年7月時点で100万部を超えている。
ひとつ注意しておくと、その9位はライトノベル版に付いた順位であって、漫画版の評価ではないよ。混ぜて語られがちなところ。
で、誰に薦めるか
薦めたい人
- 凄腕が身分を隠して静かに暮らそうとする作品が好きな人
- 育児と諜報が同じ生活の中に同居している、この設定にぐっと来た人
- 強い人が、強さ以外のところで評価されていく過程を見たい人
やめておいたほうがいい人
- 完全な日常ものを求めている人。追っ手は普通に来る
- 逆に戦闘中心を求めている人。主軸は生活のほうにある
- 重い題材が苦手な人
買うときにひとつだけ
原作のライトノベルと、この漫画版は巻数の数えかたが別だから食い違うよ。ここに並んでいるのは牛野こもが描いている漫画のほうで、電子版は7巻まで。まずは1巻を試し読みして、あの静かな緊張感が自分に合うかどうか確かめてみてほしい。
この作品について
配信の実データと、確認できた公式情報だけを並べています。
- 作者
- 牛野こも / 守雨 / 藤実なんな
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌
- 『FLOS COMIC』(KADOKAWA)/単行本も FLOS COMIC
- 連載期間
- 漫画は2022年12月16日から
- 連載状況
- 漫画は続いている(
- ジャンル
- ファンタジー
- 電子版
- 7巻まで/全7冊
- 配信期間
- 2023年7月14日 〜 2026年7月17日
- 評価
- ★4.75(52件)
- 試し読み
- あり
この作品のQ&A
- 『手札が多めのビクトリア』は何巻まで出ていますか?
- 電子版は7巻まで、全7冊が配信されています(2026年7月17日時点)。紙の既刊とは数が違うことがあります。
- 『手札が多めのビクトリア』は無料で読めますか?
- 試し読みの用意はありません。
- 『手札が多めのビクトリア』のほかの人の評価はどうですか?
- 配信ページに付いているレビューは52件、平均4.75点(5点満点)です。巻ごとの点数は巻の一覧にあります。
- 『手札が多めのビクトリア』を全部そろえるといくらですか?
- 全7冊で5,544円です。1冊あたり約792円になります。価格は取得時点のもので、セール等で変わります。
巻ごとの配信状況
配信されている巻を並べています。
配信日と評価を表で見る(全7冊)
| 巻 | タイトル | 配信日 | 評価 |
|---|---|---|---|
| 1巻 | 手札が多めのビクトリア 1 | 2023年7月14日 | ★4.71 |
| 2巻 | 手札が多めのビクトリア 2 | 2024年2月17日 | ★5.00 |
| 3巻 | 手札が多めのビクトリア 3 | 2024年9月17日 | ★5.00 |
| 4巻 | 手札が多めのビクトリア 4 | 2025年3月17日 | ★5.00 |
| 5巻 | 手札が多めのビクトリア 5 | 2025年9月17日 | ★5.00 |
| 6巻 | 手札が多めのビクトリア 6 | 2026年2月16日 | ★4.00 |
| 7巻 | 手札が多めのビクトリア 7 | 2026年7月17日 | ★4.50 |
| 1冊の価格 | 748円〜924円 |
| 全7冊 | 5,544円 |
価格は取得時点のものです。セール等で変わります。
現在アニメ放送中のランキング
同じカテゴリレビューが30件以上ついた作品を評価が高い順に並べています。
現在アニメ放送中の最新刊
同じカテゴリ新しい巻が出たばかりの作品です。